アップルが年明け早々-10%程の大暴落となっています。
主な理由は、中国でのiPhoneの販売不振に加え、主要国での販売が振るわないことをCEOのティムクックが発表した事によります。コメントの内容もiPhoneのアップグレードがうまくいかない事に触れ、かなり弱気なコメントが目立ち、世界中の投資家の注目を浴びました。
アップルCEO ティムクックのコメントまとめ
かなり異例のことですが、年明け早々にアップルのCEOティムクックが不振についてコメントしました。以下がApple公式の投資家向け書簡です。
一次情報ですので、英語を読める方は一読すると面白いかと。
https://www.apple.com/newsroom/2019/01/letter-from-tim-cook-to-apple-investors/
大まかなガイダンスに関してまとめると
- 2019年1Qのガイダンス修正を以下のようにする。
- 売上高 $840億ドル
- 主要な原因は 1) 中国での低迷 2) iPhoneのアップグレードの低迷から来ている
- 従来見通し890億-930億ドルから6%~10%の大幅な下方修正です。また前年同期の実績は883億ドルのため、前年と比べても下方修正となります。
新興国での低迷。メインは(というかほぼ)中国
- 新興国での経済活動の低迷をここまで予想していなかった。
- 特に中国でのiPhone, Mac,iPadの低迷が顕著で、Apple世界全体の100%の目標未達の原因だ。
- 中国は2018年後半から景気停滞が始まり、9月の政府発表のGDPでは過去25年で2番目に低い。加えて、中国と米国間での貿易摩擦によりさらに影響を受けるだろう。
- 中国の経済状況の低迷はすでに一般消費者に現れており、アップルストアへの来店者も昨年と比べて減っており、また中国のスマホ市場に関しても縮小が顕著である
新興国での不振と始まりながらも、後半はほとんど中国が主要な要因と触れていますね。というよりも、100%超の未達の要因だ!とまで言い切ってしまってます。よほどのインパクトだったのかが、このコメントで計り知れます。
特に米中での貿易摩擦や中国での景気低迷にも言及し、暗にAppleだけの問題ではないことにも言及しています、ここら辺は米国企業(日本企業も)もお作法的には入れておくものですね。
iPhoneの低迷
- iPhone全体の売上ガイダンスの目標未達に関しては、ほとんどが中国が原因といってもいい。
- 中国やその他の新興国でiPhone売上げ不振である一方で、先進国においても、iPhoneのアップグレードが思った以上に進まなかった。
- 主な原因は景気衰退の影響であると言えるが、それ以外にもPhoneの売上げが進んでいない要因がいくつか重なっている。
- 通信会社の補助金の減少
- 米ドル高による値段高
- バッテリー交換補助プログラムの大幅な値下げ
大きな要因はiPhone売上不振と述べています。Appleの売上の3分の2がiPhoneから構成されているので当然ですが。ここでもその要因に関して中国をあげています。
一方で先進国でもiPhoneの買い替えが思った以上に進んでいないことはかなり注目です。私自身の周りでも「iPhone高いから、違う携帯にしようかな。。」「中古のiPhoneをメルカリで買った」「PayPayのポイントでiPhoneを買おう」と言った、iPhoneの値段が高いことを敬遠している人々は明らかに増えており、これが企業の売上にも顕著に現れて来たということでしょうか。
こちらはiPhone売上不振に触れた原文
While Greater China and other emerging markets accounted for the vast majority of the year-over-year iPhone revenue decline, in some developed markets, iPhone upgrades also were not as strong as we thought they would be. While macroeconomic challenges in some markets were a key contributor to this trend, we believe there are other factors broadly impacting our iPhone performance, including consumers adapting to a world with fewer carrier subsidies, US dollar strength-related price increases, and some customers taking advantage of significantly reduced pricing for iPhone battery replacements.
ポジティブなニュースはあるのか?
- アクティブなデバイス過去最高を達しており、ここ過去12ヶ月で1億台以上増えている。より多くのAppleのデバイスを使用するユーザーが以前と比べても増えている。
- 先ほども触れたが、iPhone以外のビジネスに関しては19%の成長を見せておりサービス、マックなどのiPhone以外のビジネスに関しては順調だ。
iPhone以外の売上げの推移とApple全体としてのサービスやデバイスでの満足度が利益を高めていくと触れようとしていますが、かなり苦しそうです。
iPhoneの売上げは全体の約3分の2を占めており、Appleにとってコアなのは紛れもありません。
またティムクックが触れていたMac,iPad,app storeなど収益の多くはiPhoneを核としたサービス展開になっておりiPhoneユーザーの現象は紛れもなく今後のAppleの売上に影響が出てくるでしょう。
iPhoneのアップグレードが順調に進んでいない事を認めたティムクックですが、今後のiPhoneの戦略に対し大きな帰路に立たされています。私見ですが以下の2つの戦略があるのかと。
- 値上げを引き続き行い、高級路線として限られたマーケットでブランド力を活かして収益を増やしていく。
- エントリーモデルを潤沢にし、世界中のiPhoneのユーザーを増やし、その後のサービスや付属品、関連商品のApple独自のエコシステムをより拡張していく。
2については現在新型モデルが出ると既存モデルを値下げすることなどで対応して来ましたが、昨今の格安通信会社などの存在などからもまだまだ値段が高いというのが正直な印象です。その点ではGoogleのOSを広く広め、値段の高いキャリアも安いキャリアでも同様のアンドロイドプラットフォームで括るという戦略は見事でした。(話がずれましたが)
今後のAppleは?
引き続きAppleに以前のような2桁成長を期待するのは厳しいでしょう。何せ複合的な状況が極めて悪いです。
- 現在の高級路線化されたラインナップ
- 世界での景気低迷
- 成長事業不在
と言った、現在の市場の環境とAppleが持つ製品との相性が非常に悪く、iPhone売上不振は長引きそうです。
特にiPhoneの様なブランド力が高い製品に関しては、一度不振などブランドに関わるニュースが出るとブランド力を取り戻すのに非常に大きな労力と時間がかかります。
また 3) 成長事業不在 の影響はジリジリと企業を蝕みます。かつて最先端を走り誰しもが成長を疑わなかったIBM, GE, HPなども今日のマーケットでは爆発的な成長力を感じている人はいないでしょう。
一方で過去を見てみれば、ジョブス亡き後のアップルは終わったと言われながらもiPhoneの売上をここまで伸ばし続けて来た実績。低迷期に買いまして資産を大きく伸ばした投資家も多く存在するため何事もそうですが一概には判断できません。
私は高配当でもなく、かつ革新的な成長事業の不在からAppleには中々手を出せず、今後もしばらくは傍観のスタンスです。
また投資という切り口ですが、海外メディアの反応見るの非常にお勧めです。英語の勉強にもなりますし、日本と海外の捉え方の違いも見れて非常に面白い。サラリーマンですので、本業の方にも役立ち下手な英語の資格勉強よりよっぽど実践的だと考えています。
それでは今日も良い一日を。